インドボダイジュ(Ficus religiosa)の葉には、長く尖ったdrip tipがあります。2023年の Nature Communications 研究は、この葉先のreverse curvatureとlong tailが水滴の分離を制御することを解析し、形状を点滴灌漑emitterへ応用しました。
葉先の形を物理モデルへ落とし込む


研究ではFicus属18種の葉形を比較し、PET人工葉をlaser cutしてcurvatureとtail長を変えました。
reverse curvatureは複数water streamのconvergenceを制御し、long tailはdrop centroidをtipの外側へ移すことでcontact-line pinningを崩しやすくします。
最適化したモデルではr/R≈0.618のreverse curvatureが使われています。
BLAM emitterは小さな滴を高頻度で供給

この形状をBodhi-Leaf-Apex-Mimetic(BLAM)emitterとしてprototypeへ組み込みました。通常のsharp/round emitterと比べて、小さい滴を高頻度で落とし、砂地へより均一に水を供給できました。
小麦、綿、トウモロコシなどの発芽・seedling growth試験でも利用され、pitcher plantではgreenhouseで1年以上の給水実証も行われました。
商用圃場で節水率が確定したわけではない

重要な限界は、研究がprototypeおよびcontrolled experiment中心であることです。著者ら自身もlarge-scale field validationを今後の課題としています。
ノズル詰まり、圧力変動、配管コスト、土壌type、風、maintenanceを含む実圃場でのwater-use efficiencyやeconomic benefitは未確定です。
したがって「数%〜数十%のコスト削減が見込める」といった数字を現時点で置くべきではありません。
生物模倣の価値は“形状を機能へ翻訳した”こと
この研究の強みは、葉の見た目を真似しただけではなく、curvature→flow convergence、tail→drop separationという物理mechanismを特定し、engineering parameterへ変換したことです。
植物形態を農業機械へ利用するbiomimeticsの好例です。
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参考文献
- Liu S et al. Efficient agricultural drip irrigation inspired by fig leaf morphology. Nature Communications. 2023;14:5934. https://doi.org/10.1038/s41467-023-41673-0


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