植物生理・発生

「干ばつを経験した耐性トマト」の根圏微生物は、別のトマトの干ばつ後回復を助けるのか

耐性品種か感受性品種か、さらにその植物が水不足を経験したかどうか。4種類の根圏微生物群集を同じ感受性トマトへ移植すると、干ばつ中より再灌水後の回復に違いが現れました。2026年のEnvironmental Microbiome論文を、実験設計と限界まで含めて検証します。
植物生理・発生

田植えをしないイネ作りが増えている――乾田直播が変える「苗立ち・農機・育種」の設計

日本の水稲直播は2024年産で4.17万ha、なかでも乾田直播は2020年から約58%増えました。田植えを省く省力化だけでなく、畑作用農機との共用、輪作、苗立ち・雑草競争・耐倒伏性など、栽培体系とイネの形質を同時に組み替える技術として乾田直播を読み解きます。
農業・栽培技術

研究室の1個体を、毎日の一杯へ――コーヒーF1が示す植物バイオ実用化の壁

優れたコーヒーF1を作れても、農家へ大量に届けられなければ農業は変わりません。Somatic embryogenesis、mini-cuttings、雄性不稔を利用したF1種子生産から、nursery、コスト、farmer accessまで。「1個体を作る」研究と「100万本を届ける」実用化の違いを、毎日の一杯から考えます。
遺伝・ゲノム・育種

RNA-seqは「取る」だけの時代ではない――4,753サンプルを再利用するGrass Expression Atlas

公開RNA-seqは、SRAに置かれているだけでは研究資産になりません。Grass Expression Atlasは7種・4,753サンプルを統一処理し、組織・発生段階・処理条件などから探索できる形に変えました。RNA-seqを「取る」前に、すでにあるデータを再利用する研究workflowを考えます。
遺伝・ゲノム・育種

2本のgRNAでゲノムを『切り抜く』――植物CRISPRで100 bp級から245 kbまで欠失させた研究を追う

2本のgRNAで標的領域を挟み、介在DNAを欠失させる植物CRISPR研究を横断。245 kb級の巨大欠失が可能な一方、240 bpでも狙った欠失が稀な例があります。距離だけでは説明できないgRNA活性、同時切断、DNA修復、chromatin accessibilityの影響を追います。
植物生理・発生

糖を「つくる」より「使わない」――テンサイ高糖度系統が示した炭素配分の戦略

高糖度のテンサイは、糖をより強く合成していたわけではありませんでした。5つの生育段階を追ったトランスクリプトーム+メタボローム研究を読み解き、さらに根収量×糖度まで計算すると見えてくる「収量と糖度のtrade-off」を検証します。
植物生理・発生

2026年、カーボンドットは植物研究でどこまで来たのか――光合成促進から高温耐性、根圏制御まで

2026年8月30日、ワタとリンドウを対象としたカーボンドット研究が同日に公開されました。圃場イネ、高温耐性、カドミウム低減、根圏微生物まで広がった2026年の研究から、可能性と再現性の課題を整理します。
植物生理・発生

植物は昼の暑さダメージを夜に回復している?――Btワタの高温ストレスから見えた植物の「回復力」

昼38℃、夜27℃。BtワタのCry1Acは最初の4日間は維持され、7日目には低下しました。高温耐性を「何℃まで耐えるか」だけでなく「夜の間にどれだけ回復できるか」という視点から読み解きます。
研究

「再分化」の解像度を上げる――ナズナの“根を経るカルス”と、ペチュニアの“根を経ない”シュート再生

「カルスから芽が出る」という一語では粗すぎる。ナズナで見えてきたroot-like state、再分化competenceの時間窓、そしてペチュニアで示された別ルートをつなぎ、植物のde novo shoot regenerationを高い解像度で捉え直します。
植物生理・発生

5年生マカダミアに「遺伝子導入した根」を生やす――成熟木を直接使う毛状根形質転換の可能性と課題

5年生のマカダミア成木に直接、遺伝子導入された毛状根を作るin planta形質転換系が報告されました。成熟木を培養皿に戻さない発想は魅力的ですが、RUBYによる代謝攪乱、Ri T-DNAの影響、日本での利用条件など、実用化までにはまだ課題があります。