藻類の「共培養」の可能性は無限大。1+1が2以上になる!

研究

藻類の培養は単一培養がスタンダード

クロレラやユーグレナなど、人類は様々な藻類を培養し、生活に活用しています。培養するとき、基本的には単一の藻類を1つの容器内で培養します。これは単一の培養のみが単離した藻類の効率的な培養と認識されていました。藻類の研究が始められてから暫くの間は単一培養がスタンダードでしたが、近年は2つ以上の藻類を混ぜて培養する「共培養」の研究も進んでいるようです。

共培養は難しい

単一培養は自然界に存在する藻類などの微生物を1種だけに絞り込むことです。藻類などを自然界から単離するために必ず実施する工程であり、単一培養ができればそれをスケールアップすることで大量培養を可能にして来ました。しかし、自然界においては藻類をはじめとした微生物が単一種で存在することはありません。他の種と複雑な共生関係を築きながら生活しています。そこには利害関係があり、場合によっては相乗効果が期待できる生物種の組み合わせも存在していますが、複雑な共生関係から利点だけを活用するには膨大な労力をかけて研究する必要がありました。しかし近年になり、その成果が実を結びつつあります。

共培養すると1+1が2以上になる

シアノバクテリアのSynechococcus elongatusは、シアノバクテリアの分類中でも特に増殖が早い単細胞シアノバクテリアです。シアノバクテリアは太陽光を利用して光合成を行うため、二酸化炭素の固定や物質生産などへの応用に期待されています。このシアノバクテリアの増殖速度は研究により強化されていますが、シアノバクテリア自体の改変により強化されてきました。このシアノバクテリアを、土壌微生物であるPseudomonas putidaと共培養したところ、成長速度が最大80%増加し、光合成能力が向上しました。逆にPseudomonas putidaの増殖に対しては大きな変化はなかったようですが、ネガティブな影響は確認できなかったことから、この2種の共培養は利点のみを伸ばせたということですね。シアノバクテリアの1とPseudomonas putidaの1が合わさり、2以上の結果をもたらす素晴らしい成果となりました。

https://www.nature.com/articles/s42003-024-06098-5

これまで培養が難しかった種も培養できるかも

1+1が2以上になるという素晴らしい結果が報告されました。今回のシアノバクテリアとシュードモナス属の共培養以外にも、きっと同様の結果をもたらす共培養関係が存在しているはずです。今後の研究次第では新たな相乗効果が見つかるでしょう。共培養にはもう1つ期待する点があります。それは、これまで培養が難しかった藻類や微生物を培養できる可能性です。単独では培養が難しいが、2つ、またはそれ以上の生物の組み合わせが、人類に有益な藻類を培養するきっかけになるかもしれません。共培養界隈の研究に、これからも期待したいですね!

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