水没すると葉の形を変えるRorippa aquatica――ethyleneがheterophyllyを動かしblue lightが弱める

植物生理・発生

北米の水辺に生育するRorippa aquaticaは、陸上と水中で葉形を大きく変えるamphibious plantです。2024年の Communications Biology 研究はchromosome-level genomeを構築し、水没heterophyllyのtranscriptome responseを解析しました。

allotetraploid由来の15 chromosome pairs

R. aquaticaは2n=30で、genome解析とcomparative chromosome paintingからallotetraploidization後にchromosome fusionなどのrearrangementを経たことが示されました。

このgenome resourceを基盤に、submergence responseをRNA-seqで追跡しています。

1時間でtranscriptomeが変わり、4日でleaf incisionが深くなる

Rorippa aquaticaの陸生葉と水中葉の形態比較

submergence 1 hと4 dのyoung shoot apexを解析し、多数のdifferentially expressed genesを検出。形態としては4日でyoung leaf serration/incisionが深くなり、7日で差が明瞭になりました。

ethyleneが水中型のnarrow leafを誘導

水中ではgas diffusionが遅いためethyleneが蓄積しやすくなります。ACC(ethylene precursor)を陸上条件で与えるとsubmerged-like narrow leavesが形成され、AgNO₃でethylene responseを阻害すると水没下でも形態変化が抑えられました。

これらからethylene signalingがsubmergence-induced heterophyllyの中心経路と考えられます。

blue lightは「陸生葉へ切り替える単独switch」ではない

blue light treatmentはethylene responseをattenuateし、submergence responseを弱めました。ただし「水面へ出るとblue lightが増え、即座に陸生葉へ戻す」という単純mechanismを直接実証したわけではありません。

ABAやgibberellinも関与し、temperature-dependent heterophyllyでは別pathwayが働く可能性があります。

洪水耐性作物への応用は長期課題

水辺に生育するamphibious plant

R. aquaticaのleaf-shape plasticityを理解することはBrassicaceae cropのflood adaptation研究へヒントを与えます。ただし、葉形制御geneを移せばcabbageやrapeseedのyield lossが防げると示した研究ではありません。

関連するテーマとして、葉の表裏で気孔のK⁺チャネル構成が違う――KAT1とAKT1が作る光応答の非対称性もあわせて読むと背景がつながります。

関連するテーマとして、カボチャ台木からキュウリ葉へ移動するmRNA――CmoKARI1がisoleucine→JA-Ile経路で冷害耐性を高めたもあわせて読むと背景がつながります。

関連するテーマとして、エタノールで植物の暑さ対策はできるか――chemical primingの証拠と、家庭利用を勧められない理由もあわせて読むと背景がつながります。

参考文献

  • Sakamoto T et al. A chromosome-level genome assembly for the amphibious plant Rorippa aquatica reveals its allotetraploid origin and mechanisms of heterophylly upon submergence. Communications Biology. 2024;7:431. https://doi.org/10.1038/s42003-024-06088-7

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