ナトリウムは多くの植物では必須元素ではありませんが、動物にとっては重要な栄養素です。このplant–animal mismatchが、昆虫の行動を変えることがあります。
2023年の Scientific Reports 研究では、ヒマワリの組織中Na濃度を水耕条件で操作し、bordered patch butterfly(Chlosyne lacinia)幼虫の共食いと生存を調べました。
食べる植物そのもののNa濃度を変えた
研究ではNaCl添加量を変えたヒマワリを育て、植物組織Naが約568、668、934、2296 ppmへ変化しました。昆虫へ人工飼料や塩水を直接与えるのではなく、host plantを介してNa availabilityを操作した点が特徴です。
低Naで共食いが増えた

6匹のsibling larvaを1groupとして植物上で飼育した2つの独立実験で、低Na植物を食べたgroupほど共食いが多く観察されました。高Na条件では共食いはほぼ見られませんでした。
Naを得るため同種個体を食べた可能性と整合しますが、行動メカニズムを直接測定したわけではありません。
高Naなら健康、ではない
重要なのは、高Na区では共食いが減る一方、共食い以外の死亡率が高かったことです。Na toxicityだけでなく、Na処理によって葉の水分量やspecific leaf areaなども同時に変化したため、原因をNaだけに切り分け切れていません。
したがって「Naを増やせば昆虫が健全になる」という研究ではありません。低すぎても高すぎてもperformanceが変わるsubsidy–stress型の関係が考えられます。
生態系では植物の栄養組成も行動を作る
Na availabilityは海岸からのsalt aerosol、土壌塩分、降水などで大きく変化します。植物がそのNaをどれだけ組織に取り込むかによって、草食動物が得られるNaも変わります。
この研究は、植物の栄養状態が単に昆虫の成長速度だけでなく、共食いのような社会行動まで変え得ることを示した実験例です。
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参考文献
- Santiago-Rosario LY et al. Low sodium availability in hydroponically manipulated host plants promotes cannibalism in a lepidopteran herbivore. Scientific Reports. 2023;13:20822. https://doi.org/10.1038/s41598-023-48000-z


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