CO₂上昇で地球の陸上光合成はどれだけ増えた?――1981–2020年で13.5±3.5%という制約値

環境・気候

大気CO₂濃度が上がると、多くのC3植物では光合成が促進されます。いわゆるCO₂ fertilizationです。しかし地球全体で、その効果が過去40年間にどれほど大きかったかは、衛星、モデル、長期proxyで推定値が大きく異なっていました。

2023年の Nature Climate Change 論文は、複数の独立手法を統合してこの幅を絞り込みました。

地球全体のGPPは直接測れない

全球陸上光合成の長期変化をモデルと衛星で比較した図

全球のgross primary production(GPP)は直接観測できません。そこで研究では、terrestrial biosphere models、ecological optimality theoryを取り入れたremote sensing、global carbon budgetに基づくemergent constraintを組み合わせました。

従来の衛星GPP productは、増加CO₂がcanopy photosynthetic light-use efficiencyへ与える直接効果を十分取り込んでいない場合があります。これを補正すると、衛星推定のCO₂感度はモデルensembleに近づきました。

1981–2020年で13.5±3.5%増

CO2に対する全球陸上光合成感度の推定図

複数手法を統合した推定では、CO₂ fertilizationによって世界の年間陸上光合成は1981–2020年に13.5±3.5%、炭素量では15.9±2.9 PgC増加したと推定されました。

これは「地球の光合成総量がすべての要因込みで13.5%増えた」という意味ではなく、上昇CO₂による寄与を推定した値です。気温、降水、土地利用、窒素制限など別の要因も同時に働きます。

CO₂ fertilizationは温暖化を打ち消す万能機構ではない

光合成増加は陸域carbon sinkを支える重要なfeedbackですが、化石燃料由来CO₂排出を相殺し切るものではありません。また将来も同じ感度で増え続ける保証はなく、水・窒素・リン制限、熱・乾燥ストレス、植生変化が影響します。

この研究の価値は「推定値の幅を狭めた」こと

全球陸上光合成変化の空間分布を示す図

重要なのは、衛星だけ、modelだけのどちらかを正解としたのではなく、carbon budgetを含む複数の情報でglobal CO₂ sensitivityをconstraintした点です。

全球光合成の変化を直接測れない以上、異なる証拠を整合させて不確実性を減らすことが気候予測には重要です。

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参考文献

  • Keenan TF et al. A constraint on historic growth in global photosynthesis due to rising CO2. Nature Climate Change. 2023;13:1376–1381. https://doi.org/10.1038/s41558-023-01867-2

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