米国のイチゴ収量は1960年代以降、劇的に上昇しました。2024年の Nature Communications 研究は、長期pedigree・SNP・phenotype dataを組み合わせ、California strawberry breedingがこの変化へどれだけ寄与したかを解析しました。
2755%は「育種だけ」の効果ではない
FAO dataでは米国のstrawberry yieldは1961年以降2755%増え、harvested areaは17%減りました。
ただし、この国全体のyield increaseは、high-yielding cultivarの導入だけでなく、bare-root propagationの改善、soil fumigationを含むproduction advancesが組み合わさった結果です。
論文がbreeding effectとして別に推定したCalifornia populationのgenetic gainは、yieldで2974–6636%、fruit countで1454–3940%、fruit weightで228–504%、firmnessで239–769%という大きな値でした。これはhistorical breeding value modelによる推定です。
最大の転換点はday-neutral/perpetual flowering
1953年からFragaria virginiana subsp. glauca由来のphotoperiod-insensitive alleleを導入し、1970年代以降にday-neutral cultivarが成立しました。
季節の日長への依存を弱め、Californiaでyear-round productionを可能にしたことがyield doublingと生産拡大の重要なbreakthroughとされています。
高収量・高firmnessの代償もあった
選抜によりyield、fruit weight、firmnessは増えましたが、total soluble solids(TSS)、titratable acidity、anthocyanin concentrationは低下しました。TSS/TA比は上がったためperceived sweetnessを一部補った可能性がありますが、糖濃度そのものは低下傾向です。
またVerticillium wiltとPhytophthora crown rotへのsusceptibilityは1960年以降増える傾向が推定されました。
methyl bromideが育種圧を変えた
1960年から2005年に広く使われたmethyl bromide soil fumigationが土壌病害を強く抑え、breederがyieldへ集中しやすい環境を作りました。その結果、below-ground disease resistanceへのselection pressureが緩んだ可能性があります。
現在はmethyl bromideに依存できないため、gene bankに残る抵抗性alleleを利用し、yield・quality・disease resistanceを同時に改善することが次の課題です。
関連するテーマとして、混植するgenotype pairをゲノムから選ぶ――199系統Arabidopsisで食害を18〜30%減らしたNeighbor GWASもあわせて読むと背景がつながります。
関連するテーマとして、ダイズの莢が割れにくくなった理由――Sh1とPdh1、2つの自然変異が作った栽培化形質もあわせて読むと背景がつながります。
関連するテーマとして、キュウリの花柄長は何で決まる?――EMS短花柄mutantから見えたcytokininと細胞数もあわせて読むと背景がつながります。
参考文献
- Feldmann MJ et al. Genetic gains underpinning a little-known strawberry Green Revolution. Nature Communications. 2024;15:2468. https://doi.org/10.1038/s41467-024-46421-6


コメント