キュウリの花首の長さを調整するメカニズムが特定された!基礎研究かと思いきや、未来型キュウリ開発の重要なファクターだった。

研究

キュウリの花首、正確には「花柄」ですが、この長さを調整するメカニズムが特定されました。植物内のある特定の成分が変化すると、細胞が変化して花柄の長さが変化していくことが判明しています。これが何になるの?そう思ったのではないでしょうか。実は、花柄の長さはキュウリの出来を左右する重要なファクターなのです。

Cytokinin-related genes regulate cucumber fruit pedicel length - Scientific Reports
Pedicel length is a crucial agronomic trait of cucumbers. Fruit deformation can occur When the pedicel is too long or to...

キュウリの花柄の長さはなぜ重要?

キュウリは、ほぼすべての温帯諸国で広く栽培されており、大きな市場を形成しています。キュウリは水分含有量が高く、低カロリーであり、生の野菜として、または調理して食べられますね。食品としてだけでなく、治療薬や美容にも使用されます。キュウリを目に貼ったりしているあれです。

ススーパーマーケットなどで見られるキュウリは規格品であり、サイズや重さが揃っています。一方で規格外品も大量に生産され、こちらは量販店よりも安い価格で加工用に取引されます。市場価値を考えると、やはり規格品を作ることがより多くの利益に繋がり、市場全体の価値を底上げします。

生産したキュウリが規格品に収まるかどうかは、キュウリの「花柄」の長さが重要とされています。受粉の後、花柄は植物と果実を結び付け、果実の成長と発達に必要な栄養素を供給する重要な器官に変化します。例えるなら「へその緒」のようなものです。花柄が長すぎたり短すぎたりすると、栄養素の分布が不均一になり、成長過程で果実が曲がったり変形したりしてしまい、規格外の品になってしまいます。

そのため、適切な花柄の長さのキュウリ品種ができれば市場価値が高く、育種のターゲットとなるわけです。

https://www.nature.com/articles/s41598-024-75186-7

花柄が短い変異体が取れたので、普通のものと比較した

研究では、たくさんの変異体を解析した中に、花柄の長さが通常よりも短い系統が発見されました。花柄の短い系統と、通常の系統を比較解析することで、花柄の長さが変わる要因を探ることにしました。

解析の結果、まず、花柄の短い系統では、通常の系統に比べて花柄の細胞数が少ないことが判明しました。そこで、両系統の成分を比較したところ、花柄の短い系統では、「サイトカイニン」と呼ばれる植物ホルモン量が低下していることがわかりました。

両系統の遺伝子発現を比較すると、サイトカイニン減少の理由がわかってきました。花柄の短い系統は、サイトカイニン生合成に関与する遺伝子の発現量が低下していたのです。

このことから、キュウリの花柄の長さはサイトカイニンにより調節され、具体的には細胞の数が変化することで長さが変化していたと突き止められました。

未来型キュウリを考える

今回紹介したキュウリの花柄の長さを調整するメカニズム解明は、未来のキュウリ品種にどのように活用できるか考えてみました。

現在の栽培の延長線上で考えると、より高品質なキュウリを作るために最適な花柄長をもつ品種を作ることが望ましいですね。その際は、研究で判明した発現量が変化していた遺伝子をターゲットとして育種を行うことで、育種のスピードが早まると期待できます。

現在、植物工場で「実もの」を生産する技術開発が盛んに行われています。例えばトマトやナス、ピーマンなど、実がなる植物も植物工場で作ってしまおうと日夜研究が進んでいます。植物工場では、人の手も使いますが、機械による手入れや収穫がコストを抑えられるため多用されるでしょう。その場合、果実は「機械収穫に向いた形」が望まれます。また「規格内の同じ形の実が出来ること」も機械栽培、収穫には有利です。これらの要望を満たすため、花柄の長さを調整することで、植物工場向きの品種が作れるかもしれません。

10年、いえ5年後に食べるキュウリの形は、今と異なっているかもしれませんね。楽しみです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました