キュウリの花柄長は何で決まる?――EMS短花柄mutantから見えたcytokininと細胞数

植物生理・発生

キュウリのfruit pedicel(花柄)は果実と茎をつなぐ器官で、長さは果実形状やmechanized harvestingとの関係から育種形質として注目されています。2024年の Scientific Reports 研究は、EMS mutagenesisで得たshort-pedicel mutantを使い、cytokinin量とcell numberが花柄長に関係することを示しました。

CPL 1.8 cmに対しCPSは0.3 cm

キュウリCPLとshort-pedicel mutant CPSの比較

South China-type cucumber cultivar ‘CPL’からEMS mutagenesisで短花柄個体を得て、3世代selfingしてstable short-pedicel material ‘CPS’を作りました。short-pedicelはrecessive traitです。

flowering dayのpedicel lengthはCPL 1.8 ± 0.3 cm、CPS 0.3 ± 0.1 cmでした。

主な違いは細胞サイズではなくcell number

paraffin sectionで比較すると、特にlongitudinal directionのcell numberがCPSで大きく少なくなっていました。つまり短花柄の主因は「細胞が小さい」ことより、形成される細胞数が少ないことでした。

trans-zeatin系cytokininがlong-pedicelで高い

キュウリ花柄長とcytokinin解析

hormone profilingでは複数phytohormoneに差があり、trans-zeatin nucleosideがCPLでCPSより有意に高くなっていました。transcriptomeでもcytokinin synthesis-related pathwayにDEG enrichmentが見られました。

さらにCPSへcytokinin analogue 6-BAを処理するとpedicelは0.3 cmから1.0 ± 0.2 cmへ伸び、CPLへcell-division inhibitor lovastatinを処理すると1.8 cmから0.8 ± 0.3 cmへ短縮しました。

これらはcytokinin-dependent cell proliferationがpedicel lengthへ強く関与することを支持します。

「原因遺伝子を1つ特定した」研究ではない

旧記事では“発現量が変わった遺伝子をtargetにすれば育種できる”と単純化していました。しかし本研究はhormone profilingとtranscriptomeからcytokinin-related genes/pathwaysを絞った段階で、pedicel lengthを決める単一causal geneを確定した研究ではありません。

mechanized harvestingへの有用性も研究背景として示されていますが、このmutantを機械収穫で評価したわけではありません。

育種へつなげる次の工程はcausal mutationの同定、QTL/allele validation、fruit shape・yield・qualityとのtrade-off確認です。

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参考文献

  • Yane S et al. Cytokinin-related genes regulate cucumber fruit pedicel length. Scientific Reports. 2024;14:23361. https://doi.org/10.1038/s41598-024-75186-7

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