カプサイシン生合成の研究最前線
辛い食べ物は世界中で食べられていますね。刺激的な辛味が食欲を刺激する面もありますが、辛さの原因物質であるカプサイシンは、食べると代謝活性の上昇など健康面での機能も研究が進みます。カプサイシンの生合成経路は意外と未解明な部分が多く、遺伝子育種でより辛い品種を作ることはまだ難しい状況のようです。そこで、唐辛子の「辛い系統」と「辛くない系統」の遺伝子を比較して、カプサイシン生合成に関与する遺伝子が特定され始めています。
カプサイシンを作る遺伝子、貯める遺伝子を発見
唐辛子の「辛い系統」と「辛くない系統」のDNAを抽出し、そのすべてを解析しました。そして2系統の違いを比較します。個々で見られた違いは、「辛味」の主成分であるカプサイシンの生合成の違いに影響している可能性が高くなります。解析の結果、「辛くない系統」において、カプサイシン合成経路の遺伝子が壊れていることが判明しました。この遺伝子を強化すれば、より辛い系統を作り出すことも可能かもしれません。また、辛味を作り出すだけでは片手落ちで、作られたカプサイシンを貯蔵することも大事です。2系統の比較では、この辛味を「貯める」遺伝子も特定されました。
スコヴィル値、青天井の予感
カプサイシン生合成、貯蔵に関する遺伝子が特定されました。より辛い唐辛子の育種へ応用されるのもすぐでしょう。現在、世界で最も辛い唐辛子は「Pepper X」というスコヴィル値(SHU):2,693,000の化け物唐辛子です。2023年8月ギネス登録されていますが、測定には4年かかったとか(笑)。ちなみに、鷹の爪でスコヴィル値は40000~50000です。鬼か。
先に書いたように、カプサイシンは辛いだけでなく、健康へ寄与する可能性があります。今回の結果が応用できれば効率的なカプサイシン生産が可能ですね。気候変動により生産面積が減る可能性も示唆される現代ですが、カプサイシンの含量が高い唐辛子を作れれば、効率的なカプサイシン活用へ繋がります。次の化け物唐辛子が報告されるのを楽しみにしていましょう。
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