今回紹介する研究によると、夜間人工光(Artificial light at night:LAN)は環境における新たなストレス源として注目されています。都市化が進む中、様々な人工光源が普及し、動植物に多様な影響を及ぼしています。しかし、ALANが一部の生物には無影響またはポジティブな影響を与えることも示されています。
研究方法
この研究では、野生由来の点状浮葉植物(Landoltia punctata)を使用し、49日間にわたり夜間に暗闇(コントロール群)または人工光(ALAN群)にさらしました。日中は両群とも自然光にさらされ、週に一度、葉の数を数え、葉の面積や色素の濃さを分析しました。
結果
ALANにさらされた植物サンプルは、コントロール群と比べて平均的に葉が多く、葉の面積も大きかったです。また、ALAN群の葉の裏側は平均的に暗い色をしていました。ALANの影響で成長が促進される一方で、ストレスの兆候も観察され、これは暗い色素の増加と関連している可能性があります。
都市化と人工光
都市化により、特に都市地域では人工光の使用が一般的になり、これが植物を含む全ての生物に影響を与えています。特に植物は、人工光が植物の授粉や生理機能に悪影響を及ぼすことが示されています。ALANは植物の成長に特に有害であり、長期間または強い露出は生物時計や成長のシグナル経路にストレスを与える可能性があります。
今後の影響
この研究から、ALANが植物に与える影響は複雑であり、ポジティブな側面とネガティブな側面が同時に存在することが明らかになりました。現代社会において、夜も明るい環境が植物にどのような長期的な影響を与えるかは、今後の研究課題と言えるでしょう。
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