植物を使って希土類元素(REE)を回収するphytominingは、鉱山採掘を補完する低環境負荷技術として研究されています。2023年の Communications Earth & Environment 論文は、一般的なブドウ Vitis vinifera が土壌中のREEをxylem sap経由で葉へ運ぶことを示しました。

ただし、旧記事の「ワイナリーがレアアース鉱山になる」という見通しはかなり強すぎます。論文自身の推定回収量は約900 mg REE/haです。
ブドウは土壌のREE patternを葉へ反映した

semi-natural controlled experimentでは、土壌中のREEが根から吸収され、xylem sapを通じて葉へ移動しました。植物内のREE patternは土壌条件を反映し、成長5か月目以降に葉への蓄積が明瞭になりました。
実験条件では、REE処理による明確なcrop damageは観察されませんでした。
推定回収量は約900 mg/ha
研究チームは、ブドウ園で樹全体を収穫せず葉だけを利用した場合、約900 mg REE/haを回収できると試算しました。
この値はphytominingのproof-of-conceptとして興味深い一方、工業資源量としては非常に小さい量です。kgやt単位の鉱石生産と直接競争できることを示した試験ではありません。
葉からの直接抽出という発想
従来のphytominingでは、金属を蓄積したbiomassを焼却してashから回収する方法が検討されてきました。論文は、ブドウ葉を燃焼せず、酸・chelating solutionを使って直接leachingする方法を提案しました。
クエン酸など有機酸を使える可能性はありますが、回収率だけでなく、溶液量、濃縮・分離工程、廃液処理、エネルギー、コストまで含めなければ商業性は判断できません。
2026年Perspectiveでも商業化の壁は残っている
2026年に同誌で発表されたREE phytominingのPerspectiveは、植物を“REE crop”として使う可能性を整理する一方、商業展開の主要障壁を2つ挙げています。
- 高濃度REEを含むbiomass yieldがまだ十分でない
- 複雑なbiomassからREEを経済的に回収するprocessが確立していない
つまり2023年のブドウ研究は、現在も「すぐ鉱山を置き換える技術」ではなく、植物による分散資源回収の一例として位置づけるべきです。
ブドウで面白いのは“副産物の葉”を使える点
ブドウはhyperaccumulatorとして選抜された植物ではありません。その代わり、既存のvineyard infrastructureがあり、剪定・落葉などのbiomassが発生します。
将来価値が出るとすれば、REEだけを目的にブドウを栽培するより、既存農業の副産物から微量資源を回収するcircular processとしてでしょう。
900 mg/haという数字は小さい。しかし、植物が土壌からREEを動かし、収穫可能な葉へ集める現象自体は実証されています。phytominingの研究課題を具体的に見せる、良いproof-of-conceptです。
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参考文献
- Barbera M et al. Accumulation of rare earth elements in common vine leaves is achieved through extraction from soil and transport in the xylem sap. Communications Earth & Environment. 2023;4:291. https://doi.org/10.1038/s43247-023-00950-y
- Huang CL et al. Phytomining of rare earth elements from soils using plants. Communications Earth & Environment. 2026;7:402. https://doi.org/10.1038/s43247-026-03549-1


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