朝は雌、午後は雄――アボカドの開花時計を支えるSDMYBと4400万年以上の多型

アボカドの花の雌性期と雄性期。左は雌性期、右は雄性期を示す。 遺伝・ゲノム・育種
アボカドの雌性期(左)と雄性期(右)。Groh et al. (2026), PNASより。

アボカドの花は両性花ですが、female phaseとmale phaseを時間で分けます。A型は朝にfemale、後のanthesisでmale、B型は相補的な時刻を示します。2026年7月28日にonline公開、8月4日号のPNASに掲載された研究は、このheterodichogamyを第10染色体のSDMYB locusへ結び付けました。

アボカドの花の雌性期と雄性期。左は雌性期、右は雄性期を示す。
図1. アボカドの雌性期(左)と雄性期(右)。Groh et al. (2026), PNASより。

dominant haplotypeがA型と対応する

374個体を使ったmappingから、A/B dimorphismはR2R3-MYB transcription factorであるSDMYBを含む領域へ絞られました。dominant haplotypeはA型、recessive homozygoteはB型と対応します。

違うのは「性」より二度目の開花時刻

アボカドA型とB型で、雌性期と雄性期が現れる時刻の違いを示した図。
図2. アボカドA型・B型の雌性期と雄性期の時刻。Groh et al. (2026), PNASより。

SDMYBは両型でdiel rhythmを示しますが、dominant alleleにはcis-regulated phase delayがあり、A型のdelayed second anthesisと対応しました。したがって「雌遺伝子/雄遺伝子」というより、biphasic anthesisの時間差を作るstrong candidate regulatorと理解する方が正確です。

多型は種分化より古い

SDMYB haplotypesは複数のLauraceae speciesにまたがって残り、解析では44 million yearsを超えるtrans-species polymorphismと推定されました。これは現代のavocado cultivarが4400万年前から存在したという意味ではなく、祖先集団のallelic lineagesが種分化を越えて維持されたという意味です。

著者らはnegative frequency-dependent balancing selectionと整合的な進化史を示しています。

育種にはmarkerとして使える可能性

果樹は開花まで長いため、苗段階でA/B flowering typeを予測できるmarkerは育種上有用です。ただしSDMYBをgene editingしてA型とB型を直接相互変換した研究ではなく、下流のanthesis mechanismも未解明部分が残ります。

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参考文献

  • Groh JS et al. Balanced polymorphism in a floral transcription factor underlies the ancient rhythm of daily sex alternation in avocado. Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 2026;123(31):e2606876123. https://doi.org/10.1073/pnas.2606876123

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