植物を使って金鉱脈を探せ!

研究

安全資産の観点から、2023年は金の価格が上昇し、過去最高値を更新しています。三菱マテリアル金価格推移を見ると、その傾向がよくわかります。国内でも「砂金掘り」が話題になるなど、ブームが続きそうです。 工業的に金を採掘するには、金鉱脈を見つけ出して掘り出しますが、鉱脈を見つけるのは非常に困難です。様々な探索方法が模索されていますが、植物を使った探索方法もあるようです。

Natural gold particles in Eucalyptus leaves and their relevance to exploration for buried gold deposits.

ユーカリの木は地下の金を吸い上げる

オーストラリアは世界有数の金産出国ですが、年々、金の産出量は減少しているようです。新しい鉱脈を見つけることは金の安定生産にとって必須です。地下に埋もれた金鉱脈を見つけ出すことは難しく、地道な探索が求められますが、「ユーカリの木」を用いた探索方法が考案されています。 ユーカリは地下30~40mまで根を伸ばし、水を吸い上げる能力があります。乾燥地帯に生育するユーカリが枯れないのは、この深い根を持つからです。ユーカリは水とともに土壌中のミネラルも吸収しますが、もし根の周辺に金鉱脈が存在する場合、ユーカリは金成分も取り込んで、それを地上部に運び、葉などに蓄積します。つまり、ユーカリに含まれる金成分の量を分析することで、そのユーカリの下に金鉱脈がある可能性を探ることができます。

図 ユーカリの根系
https://www.nature.com/articles/ncomms3614

金は植物にとって毒にならないのか?

一般的に、金を含む大量のミネラル成分は植物にとって毒となることがあります。少量であれば問題ありませんが、大量に摂取すると生育障害を引き起こすことがあります。ユーカリは、金を取り込んだ後、その金を体の末端部(葉など)や、細胞内の特定領域(おそらく液胞など)に貯蔵し、有害な化学反応を防いでいます。また、金をシュウ酸カルシウムと結晶化させて毒性を弱めるなどの対策を講じています。ユーカリにとっては金の毒性よりも、乾燥した土地でどう水を得るかが重要であり、水を得る過程での副産物である金は、ある意味で余計な存在かもしれません。

図 Freddo Au 鉱床を横断するサンプリングからの金濃度
https://www.nature.com/articles/ncomms3614

新しい金鉱脈を求めて「金のなる木:ユーカリ」を調査する

葉や枝に蓄積された金は、落葉や枝の脱落によって土に戻り、分解されて再び土壌に吸収される可能性があります。そのため、金鉱脈上に生育するユーカリの周辺では金の濃度が高くなると予想されます。これは鉱脈探索にとって非常に有用な特性です。 ユーカリは、今回の例のように「金のなる木」と言えるかもしれません。

ユーカリの枝

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