植物の鋭い突起を日本語ではまとめて「トゲ」と呼びがちですが、植物学的にはthorn、spine、prickleで由来が異なります。2024年 Science 論文が解析した中心は、バラやナス類などで見られるprickle(表皮・表層組織由来の突起)です。
Solanumで少なくとも16回、prickle lossにLOG変異が関与

ナスと近縁野生種を比較すると、prickleを失った系統でcytokinin activationに関わるLONELY GUY(LOG)familyの変異が繰り返し見つかりました。研究は少なくとも16回のindependent prickle lossへLOG mutationが関与したと推定しています。
これは「1回起きた変異が広がった」だけではなく、似た形質変化に同じgenetic programが何度もco-optionされたconvergent evolutionの例です。
150 million年以上離れた植物でもhomologが使われていた

LOG homologはSolanumだけでなく、roseやriceを含む、1億5000万年以上前に分岐したangiosperm lineagesのprickle formationにも関与していました。
ただし、すべての植物のthorn/spineがLOGで決まるという意味ではありません。研究対象は形態学的に独立して進化したprickleと、その関連homologです。
CRISPRでprickle-free個体も作った
研究チームは新しいSolanum genetic systemを構築し、LOG orthologを編集することで、野生Solanum speciesとindigenously foraged berryでprickleを除去しました。
つまりこの研究は進化学だけでなく、収穫・加工を妨げるprickleを減らすcrop improvementへ直接つながるproof-of-conceptも持っています。
cytokinin全体を止めればよいわけではない
LOG familyはcytokinin activationに関与するため、無差別に機能を落とせば他の発生・生育形質へ影響する可能性があります。実用品種では対象LOG homolog、発現部位、off-target developmental effectを確認する必要があります。
この論文の重要点は「トゲなしバラをすぐ作れる」ことより、独立に進化したprickleが深い進化時間を越えて同じhormone-activation programを再利用していたことです。
関連するテーマとして、バラの花弁サイズはmiR159–CKX6でどう決まる?――サイトカイニン分解と細胞分裂の時間もあわせて読むと背景がつながります。
関連するテーマとして、キュウリの花柄長は何で決まる?――EMS短花柄mutantから見えたcytokininと細胞数もあわせて読むと背景がつながります。
関連するテーマとして、ダイズ種子の重さ・protein・oilをSW14が配分する――NF-Y複合体を抑える自然変異もあわせて読むと背景がつながります。
参考文献
- Satterlee JW et al. Convergent evolution of plant prickles by repeated gene co-option over deep time. Science. 2024;385:eado1663. https://doi.org/10.1126/science.ado1663


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