意味不明なタイトルかもしれませんが、実際に報告されたデバイスの説明です。
2023年10月、環境に配慮した材料のみで構成された土壌含水率センサーが報告されました。開発したセンサーは、検出した土壌の水分量を熱として発信し、その熱をサーマルカメラを用いて撮影することで、センサー設置位置と土壌含水率を遠隔から同時に取得することが可能です。そして、肥料としても機能させることができる模様。要素が盛りだくさんのデバイスですが、どんなセンサーなのか見ていきましょう。
Wirelessly Powered Sensing Fertilizer for Precision and Sustainable Agriculture
https://onlinelibrary.wiley.com/
センサーとしての役割
このセンサーは、土壌に散布して使用します。散布されたセンサーは、受信コイルを備えており、無線給電で電力が供給されるようです。近年のスマートフォンの非接触充電のようなものですね。
このセンサーは、電力が供給されると搭載されたヒーターが加熱されます。このとき、土壌中の水分が給電効率に影響するようです。例えば、土が乾いているほど給電効率が上がり、ヒーターがより熱くなります。そのため、センサーを設置した領域をサーマルカメラで撮影すれば、熱源位置からセンサの設置位置がわかり、ついでに熱源温度から土壌含水率が推定できるようです。センサーを大量に地面に設置して、カメラで撮影するだけで土壌含水率の情報をマッピングできますので、水分が不足している部分にピンポイントで灌水する際に役立ちますね。
土に還るセンサー
開発したセンサーは、大部分が環境中の微生物によって分解が可能のようです。残留する成分も環境に悪影響を与えにくいものとなっています。センサー本体は木材由来の微細繊維で作られた紙基板、錫配線、カーボンヒーター、天然ワックスコーティングで構成されています。紙基板と天然ワックスは微生物によって分解されます。あとに残る錫も、銅や銀と異なり、植物への害を引き起こしにくい材料として知られています。そのため、このセンサーは必ずしも回収の必要がなく、ばらまくように高密度に設置することが可能です。
センサーでもあり肥料でもある。
畑の水の様子を確認できて、さらに放置しても問題ないセンサーとなったわけですが、さらに、このセンサーに肥料成分も配合するという構想もあるようです。そうすると「センシングもできる肥料」として、新たなタイプのセンサーとしての応用も期待できます。
総じて、近年、少子高齢化の影響で農作物を生産する人の数が減ってきています。そのため、農業の効率化が求められており、このようなセンサーが役立つ日が来るかもしれません。効率的な水やり、エコな素材、さらには肥料としての機能まで…。まさに、21世紀版の緑の革命が到来するかもしれませんね!
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