ハイビスカスの葉を電子レンジで処理してできる物質が傷に効くかも。

研究

炭素量子ドット(CQD)の有効性

CQDを知っていますか?炭素ベースのナノ粒子のことです。様々な特性を持つCQDが作成されており、その用途は多岐にわたります。蛍光発色性、バイオイメージング、バイオセンシング、DNAやドラッグデリバリーなどなど、光化学分野や生物学分野で研究が進んでいます。CQDの種類や特性が様々あるように、作り方も多様です。電気を流したり、レーザーを当てたり、化学処理したり、加熱したり、マイクロ波を当てたり…色々。そのうち、身近な植物から簡単に作ることができたCQDが私達の生活を豊かにする可能性を持っていました。

Microwave-assisted synthesis, characterization and in vitro biomedical applications of Hibiscus rosa-sinensis Linn.-mediated carbon quantum dots

ハイビスカスの葉を電子レンジでチンしてできるCQD

ハイビスカス(Hibiscus rosa-sinensis Linn.)は、赤い花をつけるアオイ科の低木です。南国のイメージを持つハイビスカスは、もともと民間療法で活用される植物でしたが、抗癌作用なども研究が進む薬用植物でもあります。このハイビスカスの葉からCQDが作成されています。ハイビスカスの葉を乾燥して、粉末にします。粉末は水に溶かしてオートクレーブで加圧滅菌されました。この溶液をフィルターでろ過したものを抽出し、最後に「電子レンジ」でマイクロ波を短時間照射・冷却を繰り返します。もともと薄緑色だった溶液が暗褐色になるまで続けると、CQDが作られます。あとは、遠心分離と目の細かいフィルターで分離して、ハイビスカスCQDが精製されました。

ハイビスカスCQDの特性

生成されたハイビスカスCQDを調査すると様々な機能を持っていました。

  1. 肺炎桿菌およびセレウス菌に対する抗菌活性
  2. 生体適合性(非毒性)
  3. 細胞増殖の促進

このような特性から、抗炎症および創傷治癒材として活用できる可能性があります。細胞レベルでの試験であるため、より高度な試験結果がきになるところです。

CQD研究分野の可能性

今回紹介したCQDは、身近になる植物の抽出物を電子レンジで処理するだけという、非常に簡単な方法で作られています。この様な方法であれば、作成コストは低く、有用性が確認できれば普及は簡単ですね。極端な例だと、家庭レベルでも作成可能です(医薬品として使う場合は、ちゃんと薬として入手したほうが無難ですが)。

また、他の植物で試験することも簡単です。まだまだ未試験の植物はたくさんありますので、もっと効果の高いCQDが見つかるかも。今後の研究に期待ですね!

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