アロエベラから電気を貯める物質を作る?!

研究

キャパシタとは。

「キャパシタ」を知っていますか?コンデンサーと呼ばれる場合もありますね。キャパシタは電荷を蓄え、電力を瞬時に放出する能力を持つ電子部品です。その基本構造は、互いに対面する二枚の導体板(電極)と、その間に挟まれた絶縁体(誘電体)から成ります。電圧が適用されると、電極には対応する正と負の電荷が蓄積されます。この蓄電能力は、キャパシタの「容量」と呼ばれ、ファラド単位で測定されます。まぁ簡単に言うと電池とは異なる方法で電気を貯める装置です。

from: https://www.nature.com/articles/s41598-024-57606-w

キャパシタと電池の違い

キャパシタと電池の主な違いはエネルギーの蓄積と放出のメカニズムにあります。キャパシタは電荷を物理的に蓄積し、瞬時に大量の電力を放出することが可能です。これに対し、電池は化学反応を通じてエネルギーを蓄積し、このエネルギーを時間をかけてゆっくりと放出します。このため、キャパシタは高速な充放電が可能で、ピーク電力需要に応えるのに適しています。一方で、電池は長期間にわたるエネルギー供給に優れており、持続的な電力が必要な場合に利用されます。キャパシタは短時間での高電力負荷に対応する能力があるのに対し、電池は長時間のエネルギー供給や低電力での長期使用に適しています。

form: https://www.nature.com/articles/s41598-024-57606-w

キャパシタの活用例

キャパシタの応用は非常に多岐にわたります。電子回路では、信号の平滑化、フィルタリング、またはタイミング制御などのために使われます。電源回路では、電力の安定供給を支えています。また、電気自動車のようなエネルギー回生システムでは、ブレーキ時に発生したエネルギーを一時的に蓄え、再び加速する際にそのエネルギーを利用します。実は車分野の研究は結構盛り上がっています。今のEV車やHV車のブレーキ時の電力回生はエネルギー回生率が最大でも60%程度で、結構ロスしているそうです。電池の代わりにキャパシタを使う、またはキャパシタを併用することで、EV車やHV車の航続距離を伸ばせます。

これ以外にも、太陽光発電や風力発電、音響機器にも応用されいています。現代社会においてキャパシタはエネルギー管理と電力品質の向上、効率的な電力利用に欠かせない要素なのです。

アロエベラから作られたキャパシタ

キャパシタにも弱点があります。1つは電池に比べて体積あたりの電気容量が少ないこと。さらに、電力を貯めすぎると電圧が下がってしまう点。また充放電サイクルパターン次第で寿命も変わってきます。そして「高コスト」であることは社会活用での大きなハードルになります。

そこで、今回紹介する研究が解決策になるかもしれません。

Natural resource-derived NiO nanoparticles via aloe vera for high-performance symmetric supercapacitor

この研究では、アロエベラ葉エキスを利用してニッケル酸化物ナノ粒子を合成し、それをキャパシタの材料として使用しています。アロエベラは自然界に豊富に存在し、エキスの抽出も簡単であるため、コストを抑えることが可能です。また、この方法で作られたキャパシタは、従来のキャパシタに比べて電気容量が大きく、充放電の効率も良好です。さらにさらに、環境に優しく持続可能な製造プロセスも特徴です。この研究は、キャパシタのコストと性能の課題を克服する有望なアプローチですね。

キャパシタの需要Upに備える。

キャパシタは再生可能エネルギー源の効率的な利用、電気自動車のエネルギー管理、ポータブル電子機器の電源、そして産業用の電力品質管理など、多くの分野で今後も重要性が高まると予想されます。特に、エネルギーの効率的な貯蔵と迅速な放出が求められる分野での需要が増加するでしょう。

キャパシタの需要が高まることに備えるため、再生可能エネルギーや電気自動車、電子機器、産業用電力管理などの分野での応用が重要です。エネルギー効率の向上と迅速な電力供給能力が求められるこれらの領域では、高性能でコスト効率の良いキャパシタの開発が鍵となります。

将来、「アロエキャパシタ」なるものが私達の生活を支えているかもしれませんね。

form: https://www.nature.com/articles/s41598-024-57606-w

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