地球温暖化と言われ、その主要因は二酸化炭素だと言われていますね。そしてそれがどうなっていくのか、みんなが気になっていることかと思います。大気中の二酸化炭素濃度の上昇に対し、生態系がどのように応答しているかを理解することは、将来の気候変動の予測において極めて重要な意味を持ちます。特に、植物の光合成活性の変化は、大気と陸地の炭素交換に大きな影響を及ぼします。今後を予測するために大事な基準となるということかと。しかし、光合成量の長期変化に関する過去の研究では、様々な要因を計算して作られた温暖化モデルに基づく推定と、実際に衛星を使って測定されたデータに基づく推定の間に大きな違いが存在するという課題がありました。この点を解決することが本研究の主要な研究課題となっています。
A constraint on historic growth in global photosynthesis due to rising CO2
衛星データで何がわかるのか?光合成効率の直接効果を考慮した衛星推定
今回紹介する研究では、まず衛生データをつかった予測をブラッシュアップしました。具体的には、衛星によって観測された光合成量の推定値に、CO2濃度上昇による光合成効率への直接の影響を取り入れることに成功しています。一般的に、高いCO2濃度ではRuBisC(光合成酵素)の基質選択性が変化し、単位面積当たりの光合成効率が上昇することが知られています。著者らはこのメカニズムを反映した数値モデルを構築し、光合成量推定アルゴリズムに組み込んだ結果、CO2感度は2倍以上に高まり、過去の研究で用いられてきたモデル算出結果に近い値を示しました。実測値に足りない要素を付加した形ですかね。
環境要因からシミュレーションしたら何がわかるか?大陸の炭素収支を考慮する。
次に著者らは、大規模シュミレーションのズレを正していきます。調べていくと、地球システムモデルを用いた大規模シミュレーションから、光合成のCO2感度と1981年以降の陸域における累積炭素収支量に正の相関があることを発見しました。現代の環境では、二酸化炭素感度が炭素集積を促進している形でしょうか。この相関関係を利用して光合成量のCO2感度を補正してみました。その結果、補正後の値はより妥当性の高い範囲に収まりまりました。
両モデルの違いは何だ?衛星とモデル双方からの情報統合。
最後に、前述の衛星データと大規模シュミレーションモデル双方からの補正を考慮し、光合成量の長期変化が総合的に評価されています。その結果、過去40年間の地球全体での光合成量は、CO2濃度増加に対して13.5%増加したと推定されました。これは従来指摘されていたデータ源による違いを大きく低減できたことを意味しています。より正確に現代の状況を表し、未来を予測するツールが出来たというわけですね。
本研究の意義と今後の課題
本研究では、衛星データと地球大規模シュミレーションシステムモデルを組み合わせることで、CO2濃度上昇が地球規模の光合成量に与える影響に関する理解を大きく前進させました。特に、衛星データへの光合成効率の直接効果の組み込みと、モデル間での新たな相関関係の発見は大きな成果でした。
一方で、大陸の生態系へのCO2影響には不確実性が残されているのも事実です。こんなに多くの生物がいるんですから、それもやむなしですね。今後は土壌呼吸などの他の炭素収支要素への影響評価のような相関関係のメカニズムの理解を深めていくことが求められます。本研究が気候変動予測の精度向上に貢献することが期待されますね。そしてあわよくば良い方向に地球環境を持っていきたいものです。
コメント