屋久島の一部の植物が本土に比べて小さいのは、シカのせい。

研究
矮化(わいか)=小さくなること

自然豊かな島として知られる屋久島に行ったことはありますか? 人の手が入っておらず、自然を身近に感じたい方には楽園のような場所ですね。人の手が入っていないことで、太古からの生態系が保存されている屋久島ですが、一部の植物が「矮化」していることが以前より知られていました。その理由が判明しました。(タイトルでバレている)

Deer grazing drove an assemblage-level evolution of plant dwarfism in an insular system

矮化の圧力はどこから?シカから。

植物が矮化するのは、様々な要因があります。自然な遺伝子変異や環境因子による選択圧により、矮化個体が生き残り専有することで、そのエリアの種が矮化します。屋久島では、一部の植物が本土の植物に比べ矮化しているのが確認されていましたが、同じエリアにある植物種が矮化していない例もあり、どのような自然環境が植物を矮化させたのか謎でした。様々な要因が検討されましたが、最終的に矮化に影響を与えたのは屋久島に固有のシカが影響していると結論付けられました。これは屋久島の環境だから発生した稀有な例です。

シカのどんな行動が一部の植物の矮化につながった?

ずばり「好き嫌い」です。屋久島のシカは、天敵がいないため繁栄を謳歌していました。植物にとってはシカに食害されることが脅威となります。特にシカが好んで食す植物は、そのような環境に置かれたため、大きな植物体は不利で、食されて淘汰されていったと考えられます。一方小さな個体は魅力的に映らなかったのかスルーされて生き残り、その種全体が矮化したと考えられます。この説を補強するように、シカの好まない植物は本土の植物サイズと変化が少なく、シカの嗜好性が植物の矮化につながった可能性を補強するデータも得られています。

赤矢印は屋久島で小さくなった種。青矢印は屋久島でも小さくならなかった種。鹿は赤矢印の植物を好んで食べるそう。
まるでガラパゴス。

東シナ海に浮かぶ屋久島は、潮流が激しく島間の距離もあることから、独自の進化を見せてくれる島になっています。最も身近なガラパゴスなのではないでしょうか。今回の例以外にも、独自の進化をしている動植物はたくさんいます。ぜひその目で確かめてください。

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