薬用有用品種の見つけ方。品種の組み合わせで治療出来る疾患が変わる!増える!

研究
サルビアには様々な有効成分が含まれています。

シソ科は、世界中に約250属7000種から構成されるグループです。そのうち、サルビアはシソ科の中で最大かつ最も貴重な属の1つで、世界中に1000種以上が分布しています。なぜ貴重かというと、古式療法でも鎮痙剤、防腐剤、制汗剤、抗炎症剤、精神疾患や神経障害の治療など、さまざまな薬効があるとされ、現代でも活用の幅を広げ始めています。今日紹介する論文では、イラン産の102種のサルビア抽出物を現代技術で包括的に調査して、サルビアの可能性を探っていました。すると、これまで確認されていなかった新しい病気への治療薬の可能性が垣間見えました。

引用文献:Chemometrics-based analysis of the phytochemical profile and antioxidant activity of Salvia species from Iran

https://www.nature.com/articles/s41598-024-68421-8
サルビアを調べてみた

サルビアの調査項目は多岐にわたりました。フェノール類、フラボノイド、タンニン、光合成色素、およびアスコルビン酸の含有量、抗酸化活性を測定しています。さらに40種の化合物を特定して、品種ごとにラベルをつけました。サルビアは少しずつ成分が違っていて、見た目だけでなく構成成分でも多様性を持っていることがわかりました。様々な種類の成分を持っていることがわかったので、成分の組み合わせでどのような病気に効く可能性があるか、調査されています。

成分の組み合わせで多様な効果が期待できる!

たとえば、シリンガ酸の含有量が高い品種は、心臓保護、肝臓保護、抗糖尿病、抗菌、抗炎症、アポトーシス促進効果などが期待できます。また、サルビアノール酸とリチオスペルミン酸が豊富な種は、内皮機能障害、肺動脈性高血圧、心臓線維症の治療に有望です。他にもフェルラ酸を多く含む種は、心臓保護、抗線維化、抗アポトーシス、抗血小板作用が期待されます。フラボノイド配糖体とグルクロン酸抱合体が豊富な種は、抗糖尿病、抗炎症、抗ストレス、抗アレルギー作用、抗ウイルス剤、抗菌剤などなど、多様な可能性が隠れていました。

さらに、種ごとの抽出物を組み合わせることで新たな薬効が期待できます。サルビアノール酸Aやサルビアノール酸Bなどの特定の化合物を多く含む種の抽出物と、ロスマリン酸およびサルビアノール酸Cを多く含む種の抽出物を組み合わせると、「アルツハイマー病」の治療に貢献できる可能性があるそうです。可能性の宝庫すぎん?

多成分の組み合わせから効能を探る時代だ

私たちが恩恵を受けることの多い西洋医学では、単一の成分による治癒効果を有効活用してきました。他方、中医学を例とする東洋医学では、さまざまな「生薬」の組み合わせにより、複合的な効果で人を治療してきました。現在でも新しい成分が薬として登録されているものの、より多様な治療が求められる時代になっているように感じます。それは、世界人口が増え、公衆衛生を世界中すべての人が享受するためにはより効率的な医療が求められているからだと考えています。今回のサルビアの例のように、これまで使っていた植物の中にも、「組み合わせる」ことにより新しい使い方が模索できるかもしれません。これまでも、これからも植物は可能性の宝庫ですね。

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