ゴミじゃない!ヘーゼルナッツの種皮は利用価値がありそう。

研究

ヘーゼルナッツの種皮は廃棄物だった

ヘーゼルナッツ、美味しいですよね。お菓子として親しまれているヘーゼルナッツは、カバノキ科ハシバミ属の植物です。硬い種皮に覆われている様子はどんぐりに似ていますが、ブナ科ではありません。食用にする際には、この硬い種皮を取り除きます。毎年100万トンに達するこの種皮は、現在、具体的な二次利用がほとんど行われていないのが現状です。

一部の種皮は食用に転用されています。例えば、ヨーグルトやお菓子、パスタなどに混ぜ込まれ、機能性を高めるために利用されています。また、家畜の飼料としても活用され、肉質を向上させる効果があるようですが、まだ普及途上です。

ヘーゼルナッツの種皮の再利用が進まない主な原因は、情報不足にあります。ヘーゼルナッツはアレルギーを引き起こすことがあるため、機能性が高くても食品に添加するには慎重さが求められます。まずはその特性を見極めるために研究が進められています。

引用文献:By-product hazelnut seed skin characteristics and properties in terms of use in food processing and human nutrition

種皮抽出物を調べてわかったこと

ヘーゼルナッツの種皮を90℃のお湯で超音波処理し、抽出液を作成しました。この抽出液を解析したところ、いくつかの興味深い結果が得られました。

抗酸化作用がある

抽出液にはポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化作用が確認されました。抗酸化作用は、人体においてアンチエイジング効果が期待でき、適度な摂取が健康に貢献する可能性があります。

細菌の増殖抑制効果がある

抽出物は、細菌の増殖を抑制する効果を示しました。Bacillus属やEscherichia属(大腸菌)、Staphylococcus属(ブドウ球菌)など、病原性を持つ可能性のある細菌の増殖を抑制したのです。一方で、Lactiplantibacillus属(乳酸菌)のような、人体に有用な細菌の生育には大きな影響を与えず、腸内細菌の正常化に寄与する可能性が示唆されています。

アレルゲン物質の含有量が低下していた

興味深いことに、アレルゲン物質の含有量が低下していました。ヘーゼルナッツは一般的な食物アレルゲンであり、注意が必要な食品ですが、この抽出液ではアレルゲン物質が減少していました。これは、高温での加熱処理が要因と考えられ、抽出液の活用の幅が広がる可能性を示しています。

「ヘーゼルナッツ種皮フレーバー」が作られる日も近い?

ヘーゼルナッツ種皮の抽出液は、機能的に安定しており、アレルゲン物質が減少していることが確認されました。これに加え、香りや食味に関する成分も豊富に残っていることがわかりました。ヘーゼルナッツとは異なる味や香りがあるようですが、使い方次第で新しい「フレーバー」を作り出すことも可能かもしれません。「ヘーゼルナッツ種皮味」のチョコレートが誕生する未来を想像してしまいます。

ヘーゼルナッツに限らず、廃棄物として捨てられているものから新しい可能性を見出すことができる例は他にもたくさんありそうです。今後の研究開発に期待しましょう!

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