アメリカの気候データから作ったモデルで、アフリカの農産物の収穫量を予測できるらしい。

研究

参考論文 Non-linear relationships between daily temperature extremes and US agricultural yields uncovered by global gridded meteorological datasets

気候データから作物の収量を予測する時代だ。

AI、機械学習の発達により、様々なデータから未来の状況を予測できるようになってきました。あわせて、測定装置や記録装置の進化により、膨大な量のデータが得られるようになっていますね。いわゆるビッグデータです。これらを組み合わせて解析することで、これまででは考えられなかった未来の状況をある程度予測することができるようになってきています。最も身近なものの一つは「天気予報」でしょうか。他にも広告業界などは特にビッグデータを有効活用しているように思います。

農業は世界経済に占める割合は小さいものの(4%)、人類が生きていくために不可欠であり、また発展途上国ではGDPの大部分を占める国もあります。安定した作物生産を支えるためには、地域ごとの生産量が予測できることが重要で、適正分配の観点からも正確な予測は人類に与える影響が大きいと考えられます。生産量予測に適したデータは「気象データ」であり、過去の気象データを集約したデータフレームが複数種類公開され、誰でも使用可能な状況です。

アメリカの気象データは豊富で、予測精度も高い

先進国であるアメリカは、気象データが豊富です。これを用いた収量予測は高い精度で収量を予想できます。アメリカでは収量データも詳細に提供されているため、予測の「材料」と「結果」が豊富に揃い、高い予測精度が出せるというわけです。アメリカに限らず、先進国では正確な統計情報が公開されているため、同様の解析や研究は進んでいると思われます。それぞれの土地にあったパラメーター等もあるでしょうから、ローカライズされた予測ツールは世界中で開発されています。

データの乏しいアフリカの収量をアメリカのモデルを使って予測できる

一方で、アフリカのような途上国が集中しているエリアは、気象データをサンプリングする装置や施設が乏しく、気象データの質が低下します。また、予測の結果である収量データも詳細には存在せず、予測のための機械学習が難しい状況です。このような場合は、他のエリアで作られた予測モデルを反映させます。一見、予測結果が低下しそうに見えますが、要所を押さえた予測モデルは地域が変わっても骨子となるデータが存在していればある程度の予測精度は出せるようです。精度が多少低くとも、予測自体があるのと無いのとでは対応が異なります。世界の農業はデータにより連携する時代になっているように感じます。

世界の解像度が上がる

気温が上がれば収量が上がる作物、下がる作物。湿気が増すと収量が変化する作物。作物生産分野においては様々な相関があります。データそれぞれを単独で見ても、収量のような最終結果を予測することは難しいです。複数の情報を組み合わせることで、最終結果とのズレが小さくなり予測精度が上がります。まさに世界の「解像度」が上がっているように感じます。

ビッグデータを活用していきましょう!

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