代替肉の研究
私達は日常的に安定供給される肉を食しています。この安定供給は環境負荷の代償を払うことで成り立っており、いつかはなんとかしないとならないはずです。例えば、動物性タンパク質を家畜を育てて得る場合、植物性タンパク質に加えて何十倍もの水が必要となります。また脂の乗った食肉を作る場合、餌は人が食べる穀物と競合し、食糧供給が不十分な地域への負荷がかかっています。
これらの点を解決すために「代替肉」の研究が盛んです。例えば、
- 筋細胞を培養して作る人工肉
- 植物タンパク質を改変して作る植物肉
- 植物に遺伝子組換で動物タンパク質を合成させて作る人工肉
- キノコ(糸状菌)を改良して作る人工肉
などがあります。
植物タンパク質由来、主にダイズを原料にするものは「大豆ミート」としてナゲットなどで見かけるようになりました。他の方法も研究が進めば私達の食卓に並ぶかもしれません。
以外と可能性が眠っているのが、キノコの改良による代替肉です。キノコは糸状菌の分類です。糸状菌はキノコ以外にもカビなども含みます。キノコを見てもらえばわかりますが、糸状菌はバクテリアと違いある程度のバイオマスを形成します。このバイオマス(キノコ自体)を肉に近づけられたら、そのまま肉として食べられると思いませんか?
糸状菌を肉に近づける分子生物学的手法
糸状菌を肉に近づけるにはどのような要素が必要だと思いますか? 例えば色であり、香りであり、そして食感です。それを解決するためには、遺伝子組換えやゲノム編集技術が必要となります。これらの研究が進み、肉に近づける要素が付加された糸状菌が作れるようになってきました。
肉の赤色に近づけるためには、地に含まれるヘモグロビン、特にヘム鉄が存在すれば赤色を呈します。鉄分も取れます。香りも肉の芳香成分を合成できるようになれば良く、食感は筋肉質の繊維が合成されれば近づくと考えられます。遺伝子組換えやゲノム編集でこれらのハードルを超えれば、将来肉を野菜コーナで買うことになるかもしれません。
どの代替肉がシェアをとるのか。
糸状菌で作る人工肉も未来があると思います。しかし、どの手法もベンチャー企業が立ち上がり、技術開発競争でしのぎを削っている状況です。この中から将来の代替肉が出てくるかもしれません。そうなると畜産肉は高級品となるのでしょうか。
一方で人間は雑食です。雑食の生物は生きるために雑食する必要があるとの意見もあります(ビーガンに適する人もいるので要・不要マーブル状態だと思いますが)。そうなると、すべての技術が進歩したほうが良い気がしますがいかがでしょうか。食肉業界がどうなっていくのか、今後の動向を見守っていきましょう。
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