セクロピアの樹内でアリの巣内細菌叢は成熟する――Azteca colonyの発達段階を追う

病害・共生・相互作用

中南米のセクロピア(Cecropia)は、幹内部の空洞をAzteca属アリへ提供します。その巣内には黒っぽい“patch”が形成され、バクテリア、菌類、線虫などが共存します。

2023年の Communications Biology 研究は、このpatchの細菌群集がアリcolonyの発達段階でどう変わるかを16S rRNA amplicon sequencingで調べました。

初期colonyでは細菌多様性が低い

Aztecaアリcolonyの発達段階と巣内microbial patchの模式図

女王が作る初期patchではalpha diversityが低く、アリspeciesごとに固有のcommunity構造も明瞭ではありませんでした。

一方、colonyが成熟すると細菌多様性が高まり、established colonyでは同じant species内で比較的一貫した、species-specificなcommunityが形成されました。Burkholderiales、Rhizobiales、Chitinophagalesなどが主要群です。

「最初は多種多様で、後から選別」では逆

旧記事では初期patchに多様な菌がひしめき、後で安定化すると書いていましたが、原著では初期段階の方が低多様性です。colony発達とともに複雑なcommunityへ変化します。

微生物がcolony発達を助ける機能はまだ仮説

patchには菌類や線虫も存在し、栄養供給や病原体防御などの機能が提案されています。しかし、この研究は主にcommunity compositionを記述したもので、特定の細菌がcolony成長を因果的に促すことを実証したものではありません。

また「アリと細菌の共進化」を直接示した研究でもありません。ant species-specific communityは興味深いですが、共進化には系統比較や機能実験がさらに必要です。

植物の中にできる小さな生態系

Cecropia–Azteca系のおもしろさは、植物の空洞が単なる“巣箱”ではなく、アリ、菌類、細菌、線虫からなるmicroecosystemになることです。

colony形成に伴ってmicrobiomeが成熟するという結果は、social insectの生活史と巣内微生物群集が結びついていることを示します。

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参考文献

  • Nepel M et al. Bacterial diversity in arboreal ant nesting spaces is linked to colony developmental stage. Communications Biology. 2023;6:1217. https://doi.org/10.1038/s42003-023-05577-5

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